- 2026年6月26日施行の改正労働基準法では、裁量労働制に「労働者本人の個別同意取得」が義務付けられ、同意撤回の仕組みの整備も求められる。
- 労働条件明示のルールがさらに拡充され、現行の雇用契約書・労働条件通知書が新要件を満たしているか早急に確認する必要がある。
- 対応が遅れると労基署の是正勧告・労働紛争・採用ブランドへの悪影響が生じるリスクがあるため、現状把握と社内規程の改訂を今から着手することが重要。
2026年6月26日施行|改正労働基準法の概要
2026年6月26日(木)、改正労働基準法が施行されます。今回の改正は、働き方の多様化や労働環境の変化に対応するため、複数の重要なルール変更を含んでいます。特に裁量労働制の適用要件の厳格化と労働条件明示事項の拡充は、多くの企業の人事・労務実務に直接影響を与えます。
施行まで時間的な余裕があるようで、実際には社内規程の見直しや雇用契約書の改訂、システム対応など、準備に相応の期間を要します。「施行日が来てから動き出す」では間に合わないケースも少なくありません。本記事では改正の主要ポイントと、企業が今から着手すべき対応策を整理します。
改正の主要ポイント①|裁量労働制の見直し
今回の改正で最も注目度が高いのが、裁量労働制に関するルールの見直しです。専門業務型・企画業務型の両制度において、適用要件や手続きが厳格化されます。
本人同意の取得が必須に
これまで裁量労働制の適用にあたって本人同意は必ずしも明文上の要件ではありませんでしたが、改正後は労働者本人からの個別同意取得が義務付けられます。さらに、同意した労働者が同意を撤回できる仕組みの整備も求められます。
健康・福祉確保措置の強化
裁量労働制適用者に対する健康・福祉確保措置として、勤務間インターバルの確保や深夜業の回数制限など、使用者が選択する措置の幅が拡充されます。いずれかの措置を必ず講じることが求められるため、現行の対応状況の確認が必要です。
労使委員会の運営要件の見直し
企画業務型裁量労働制を利用する企業では、労使委員会の設置・運営が前提となります。改正では委員会の開催頻度や決議内容の記録保存に関する要件が見直される見込みです。既存の労使委員会の運営実態を点検しておくことが重要です。
改正の主要ポイント②|労働条件明示ルールの厳格化
2024年4月の労働基準法施行規則改正に続き、今回の法改正でも労働条件明示に関するルールがさらに強化されます。
明示事項の追加
雇用契約締結時・契約更新時に書面(または電磁的方法)で明示しなければならない事項が追加されます。特に就業場所・業務内容の変更範囲および有期雇用契約の更新上限の有無と内容については、すでに2024年4月から義務化されていますが、今回の改正ではさらに対象範囲が広がる点に注意が必要です。
既存の雇用契約書・労働条件通知書の見直しが必要
現在使用している雇用契約書や労働条件通知書のひな形が改正後の要件を満たしているかどうか、法務・人事部門で確認が必要です。特に定型書式を長年更新していない企業では、複数箇所の改訂が生じる可能性があります。
改正の主要ポイント③|その他の実務に影響する変更
割増賃金率に関する経過措置の終了
中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率(50%以上)については、大企業と同様のルールがすでに2023年4月から適用されています。今回の改正施行に合わせて、自社の時間外労働の実態と賃金計算の正確性を改めて確認することが推奨されます。
労働時間の把握義務の徹底
裁量労働制適用者を含むすべての労働者について、使用者による客観的な方法による労働時間の把握が一層求められます。タイムカードやPCログなど、客観的な記録手段が整備されているか見直しておきましょう。
企業が今すぐ取り組むべき対応ステップ
施行日の2026年6月26日に向けて、以下のステップで準備を進めることをお勧めします。
ステップ1|現状の実態把握と課題の洗い出し
まず自社で裁量労働制を導入しているか、導入している場合は適用対象者数・業務内容・現行の手続き状況を整理します。合わせて、現行の雇用契約書・労働条件通知書の書式が最新の法令要件を満たしているかを確認します。
ステップ2|社内規程・書式の改訂
課題が明確になったら、就業規則・裁量労働制に関する労使協定または労使委員会決議・雇用契約書のひな形について必要な改訂を行います。弁護士・社会保険労務士などの専門家と連携しながら進めることで、見落としを防ぐことができます。
ステップ3|労働者への周知と同意取得
裁量労働制の適用者については、改正内容を丁寧に説明したうえで個別の同意取得を行います。同意取得の記録は保存義務がありますので、書面または電磁的方法で確実に残してください。
ステップ4|管理職・人事担当者への研修
改正内容を正しく理解し、現場で適切に運用するために、管理職や人事・労務担当者向けの研修・勉強の機会を設けましょう。特に裁量労働制の運用に携わる管理職については、制度趣旨と新たな手続き要件の理解が不可欠です。
対応が遅れた場合のリスク
改正労働基準法への対応が不十分な場合、以下のようなリスクが生じます。
- 労働基準監督署による是正勧告・指導:定期的な監督指導や申告対応の過程で法違反が発覚した場合、是正勧告や場合によっては送検の対象となります。
- 労働者との紛争リスクの増大:適切な同意取得や条件明示がなされていない場合、未払い残業代請求や雇用契約に関するトラブルに発展するリスクが高まります。
- 採用・ブランドへの影響:法令遵守の姿勢は採用競争力や企業ブランドに直結します。コンプライアンス対応の遅れは、求職者や取引先からの信頼低下につながりかねません。
まとめ|2026年6月施行に向けて早期の準備を
2026年6月26日施行の改正労働基準法は、裁量労働制の適用要件厳格化・本人同意義務化と労働条件明示ルールの拡充を中心に、企業の人事・労務実務に広範な影響を及ぼします。
対応に必要な時間を確保するためにも、今から現状把握と課題の洗い出しに着手することが重要です。社内リソースだけでの対応が難しい場合は、専門家への相談も選択肢の一つです。
自社の対応状況について不安がある方、改正内容の詳細を確認したい方は、お気軽にご相談ください。
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