- URLを変えたらリダイレクト設定を忘れずに
- トップ画面で事業内容を一文で伝える
- 広告タグの引き継ぎ担当を事前に決める
サイトをリニューアルしたはずなのに、公開直後から問い合わせ数が落ちた。そういう相談は、Web制作の現場では決して珍しくありません。原因の大半は「デザインが悪かった」ではなく、情報設計の変更と移行時の技術的な設定漏れにあります。この記事では「よくある失敗 → 原因 → 改善後」の流れで、自社に当てはめられる判断の分かれ目を整理します。
失敗①:URLを変えたら検索からの流入がゼロになった
リニューアル後に検索エンジン経由のアクセスが激減した場合、まず疑うべきはURL構造の変更です。検索エンジンは、長期間かけてページのURLと評価を紐付けて蓄積しています。そのURLが変わると、蓄積された評価は新しいURLへ引き継がれません。
具体的な場面
従業員30名ほどの製造業の会社が、サイトリニューアルを機にカテゴリ構造を整理しました。旧サイトでは「/service/」だったページが「/solutions/products/」に変更されました。デザインは大幅に改善されましたが、公開の翌月から検索経由の問い合わせが半分以下に落ち込みました。原因はリダイレクト(転送設定)の未設定です。旧URLに来た訪問者も検索エンジンも、新URLへ自動的に案内されていなかった。
改善後の対応
旧URLから新URLへの「301リダイレクト」(恒久的な転送を意味する設定)を全ページ分設定し直すことで、検索エンジンの評価が徐々に新URLへ移行されました。完全に戻るまでに3〜6か月かかるケースが一般的です。予防するには、URLを変更する場合は公開前にリダイレクト設定を必ず行う、これだけです。
失敗②:デザインを刷新したら「何の会社か」が伝わらなくなった
見た目を洗練させようとするあまり、事業内容の説明が薄くなるケースが多くあります。
具体的な場面
飲食店を複数運営する中小企業が、採用サイトと会社サイトを統合してリニューアルしました。デザイン重視で大きな写真を前面に出したトップページにしたところ、訪問者がスクロールしないとサービス内容にたどり着けない構成になっていました。広告運用の担当者が数字を確認すると、直帰率(サイトを1ページだけ見てすぐ離れる割合)が大幅に上昇していました。
後から訪問者の動きを分析すると、多くのユーザーがトップページを開いてから数秒で離脱していました。「この会社が何をやっているのか」が一目でわからなかったためです。求職者向けに作ったデザインが、サービスを探している顧客には機能しなかった典型です。
改善後の対応
トップページの最初の画面(スクロールなしで見える範囲)に「誰に・何を・どう提供するか」の一文を加えました。また、ナビゲーション(メニュー)を「採用情報を見たい人」と「サービスを検討したい人」に分けて導線を整理しました。この修正だけで、離脱のタイミングが改善されています。
失敗③:広告の計測タグが外れていて、成果がまったく追えなくなった
リニューアルで最も見落とされやすいのが、広告計測タグ(トラッキングコード)の引き継ぎです。
具体的な場面
従業員50名規模のBtoB向けサービス企業が、Web制作会社にリニューアルを依頼しました。広告運用は別の担当者が行っており、両者の間に「タグの引き継ぎ」に関する明確な取り決めがなかった。公開後もしばらくは広告費を使い続けていましたが、成果計測の数字が途切れており、実際にどのページから問い合わせが来ているか追えない状態が1か月以上続きました。
広告タグとは、問い合わせフォームの送信完了ページなどに埋め込む小さなプログラムで、「どの広告経由で来た人が問い合わせたか」を記録するものです。これが外れていると、広告費の効果を測定できないまま運用を続けることになります。
改善後の対応
公開前に、制作担当・広告運用担当・発注側の三者で「タグの設置リスト」を確認し合う手順を設けました。計測が止まっていた期間の広告費についてはデータが戻らないため、リニューアル前後の引き継ぎ確認は「公開前の最終チェックリスト」として明文化することが最も確実な予防策です。
判断の分かれ目:自社のリニューアルは大丈夫か
以下の3つの観点が、リニューアルで成果が落ちるかどうかの分かれ目になります。現在進行中のリニューアルでも、事後の改善検討にも使えます。
- URLを変えるか? 変える場合は、旧URL一覧を全ページ分書き出し、新URLへのリダイレクト設定を公開前に完了させているか。変えない選択肢も検討したか。
- トップページの最初の画面に「何の会社か」が書かれているか? デザインカンプ(デザインの見本)の段階で、スクロールなしの状態でキャッチコピーと事業内容の説明が入っているかを確認する。
- 広告タグ・解析ツールの設定を誰が確認するか決まっているか? 制作担当と広告運用担当が別の場合、引き継ぎの責任者と確認タイミングを明文化する。
採用サイトのリニューアルで起きがちな追加の落とし穴
採用サイトに限定して言えば、もうひとつよくある失敗があります。それは求人情報の更新が止まることです。リニューアル直後は担当者のエネルギーがデザイン確認や公開作業に使われ、実際の求人ページの内容が古いまま残るケースが多い。
求職者は「最終更新日」や「募集中と書かれているのに締め切り日が過ぎている」といった細部をよく見ています。採用サイトのリニューアルと同時に、求人情報の内容・掲載期間・更新ルールも見直すことが、実際の採用成果につながるかどうかの分岐点です。
また、採用サイトと求人広告(Indeed・求人ボックスなど)を並行運用している場合、リニューアル後のURLが広告のリンク先に反映されていないケースも頻繁に起こります。広告から来た求職者がエラーページに到達してしまい、応募機会を逃す典型的なパターンです。
まとめ
- URLを変える場合は、リダイレクト設定が必須。 設定漏れは検索流入を長期間にわたって損ない、回復にも時間がかかる。
- デザインの刷新と情報の整理は別の作業。 「何の会社か」がトップ画面で伝わらなければ、洗練されたデザインも離脱を止められない。
- 広告タグの引き継ぎは「誰が・いつ・何を確認するか」を事前に決める。 制作と運用の担当が分かれているほど、見落としが起きやすい。
サイトリニューアルは、正しく進めれば問い合わせや採用応募を増やす大きな機会です。一方で、移行時の確認漏れひとつで、公開直後から成果が落ちることも珍しくありません。「デザインは気に入っているのに数字が戻らない」「リニューアルしたばかりなのに何かおかしい」といった状況にお心当たりがあれば、まず現状の確認から始めることをお勧めします。設計から移行設定まで一緒に見直したい場合は、お気軽にご相談ください。