- 求職者視点への翻訳が核心
- 小さな改善が応募率を変える
- 人の選択に直結するやりがい
「採用支援の仕事ってどんな感じなの?」と聞かれたとき、うまく説明できない人は多い。映像や広告とも違う、人事コンサルともちょっと違う。その正体が分かりにくい仕事だからこそ、やり始めると「こんなに面白いとは思わなかった」と言う人が後を絶たない。この記事では、採用動画・採用サイト・求人広告の制作現場を通じて見えてくる、人と会社をつなぐ仕事の面白さと、判断の分かれ目を具体的に描いていく。
採用支援の仕事とは何をする仕事か
採用支援とは、企業が必要な人材と出会い、入社してもらうまでの一連のプロセスを、クリエイティブの力で後押しする仕事だ。具体的には、採用動画の企画・制作、採用サイトの設計・制作、求人広告の原稿制作・媒体運用などが含まれる。
この仕事の特徴は「届ける相手が二重にいる」ことだ。クライアント(採用担当者や経営者)の要望を理解しながら、同時にその会社を知らない求職者の視点で考え続けなければならない。どちらかだけを向いていると、成果が出ない。
よくある失敗①:「会社の良さ」を伝えようとして、求職者に刺さらない
採用支援の現場で最もよく目にする失敗が、これだ。クライアントは一生懸命「うちの強み」を語ってくれる。それ自体は正しい。しかし、その言葉をそのまま採用動画や求人広告に乗せても、応募者の心は動かない。
失敗の場面:伝えたいことと、読まれることがズレる
製造業・従業員30名ほどの中小企業を例に考えてみよう。採用担当者が「技術力の高さをアピールしたい」と言う。採用動画には最新設備の映像が並び、「品質へのこだわり」というテロップが流れる。完成度は高い。でも応募が来ない。
なぜか。求職者が知りたいのは「自分がそこで働いたらどうなるか」だからだ。設備の映像は会社の都合の発信であって、求職者の問いへの答えではない。
原因:「会社視点」と「求職者視点」の混同
採用広告において「強みを伝える」と「求職者の不安を解消する」は別の行為だ。前者は発信、後者は対話に近い。求人広告の原稿でも採用動画でも、求職者が「自分ごと」として読めるかどうかが分かれ目になる。
改善後:「働く自分」が想像できる構成に変える
同じ製造業の事例で、採用動画の構成を変えたとする。「入社1年目の社員が朝のルーティンを語る」「先輩が後輩に技術を教えるシーン」「定時退社後の過ごし方を一言だけ添える」。これだけで、求職者が「自分が働くイメージ」を持ちやすくなる。情報の中身より、情報の「主語」が変わったのだ。
よくある失敗②:採用サイトが会社紹介になっている
採用サイトと会社紹介サイトは別物だ。しかし、多くの企業でその区別がなく、採用ページを会社紹介の延長として作ってしまっている。
失敗の場面:情報は揃っているのに離脱される
IT・サービス業・従業員50名規模の企業を例にする。採用サイトには「企業理念」「代表メッセージ」「事業内容」「福利厚生一覧」がある。内容に嘘はない。でも、ページを開いた求職者は30秒以内に離脱する。
問題は、どこを見ても「その企業にとって都合のいい情報」しかないことだ。求職者が採用サイトを見るときの問いは「この会社に入っていいか」であり、そのためには「ネガティブな側面も含めたリアル」が必要だ。
原因:採用サイトの役割を「PRページ」と誤解している
採用サイトは求職者が「働く判断」をするための情報設計が必要だ。良い面だけを並べた採用サイトは、入社後のギャップを生みやすく、早期離職につながるリスクもある。クライアントに「ネガティブも出してください」と提案することが、支援する側の誠実さでもある。
改善後:「入社後のリアル」を丁寧に設計する
改善後の採用サイトには「大変だと感じる瞬間」を社員が素直に語るコンテンツを加える。「向いている人・向いていない人」のチェックリストも設ける。一見ネガティブに見えるが、求職者の信頼度が上がり、応募者の質が変わる。ミスマッチが減る。これが採用支援の現場で実感できる、静かなやりがいだ。
よくある失敗③:求人広告を「書いて終わり」にしている
求人広告の運用は、原稿を書いて媒体に掲載すれば終わりではない。出稿後のデータを読んで、改善を繰り返す作業が採用支援の核心にある。
失敗の場面:原稿を変えずに「媒体のせい」にする
飲食業・20名規模の企業で、求人広告を出したが応募ゼロが2週間続いたとする。担当者は「この媒体では集まらない」と判断し、別の媒体に切り替えた。しかし結果は同じだった。
原因は媒体ではなく、原稿の訴求軸(何を売りにするか)と、ターゲット(どんな人に向けているか)のズレにあった。
原因:データを読む習慣がない
求人広告の運用では「クリック率(広告を見た人のうち、何人が詳細を開いたか)」「応募率(詳細を開いた人のうち、何人が応募したか)」の2つを分けて見ることが基本だ。クリック率が低ければ「タイトルや写真」に問題があり、応募率が低ければ「本文や条件の見せ方」に問題がある。これを区別せずに「媒体が悪い」と結論づけると、改善の機会を逃す。
改善後:仮説→検証→改稿のサイクルを回す
同じ飲食業の例で、クリック率は高いが応募率が低いと分かれば、本文の内容を変える。「給与の書き方」「勤務地の説明の順番」「職場の雰囲気を伝える写真」のどれか一つを変えて、1週間後の数字を見る。この地道な繰り返しが成果につながる。採用支援の仕事の面白さは、こうした「小さな仮説が正解だったとき」の手ごたえにある。
採用支援の仕事で、判断が分かれる3つの場面
採用支援に関わる人が、日々迷いやすい判断ポイントを整理する。以下の3点を押さえておくと、現場での判断がスムーズになる。
- 「クライアントが言う強み」をそのまま出すか、求職者視点で翻訳するか。クライアントの言葉は「社内の文脈」で語られている。それを求職者が理解できる言葉に置き換える作業が必要かどうか、常に問い直す。翻訳が足りないまま原稿を仕上げると、読み手に届かない。
- 採用動画に「カッコよさ」を求めるか、「リアル」を優先するか。映像のクオリティが高いほど、求職者に「演じている感」を与えるリスクもある。どちらを優先するかは会社の文化と採用ターゲットによる。カッコいい映像が有効なのは、ブランドへの憧れで動く人材を集めたいときだ。日常のリアルを見せる映像が有効なのは、長期で働いてくれる人を集めたいときだ。この使い分けを提案できるかどうかが、支援する側の実力の差になる。
- 採用サイトを「スタンドアロン(単独)」で作るか、求人媒体と連動させるか。採用サイトだけを作っても、求職者がたどり着かなければ意味がない。求人広告から採用サイトへ誘導する動線設計が必要かどうか、最初に確認する。動線を設計しないと、作った採用サイトが「誰にも見られないページ」になる。
人と会社をつなぐ仕事の、本当の面白さはどこにあるか
採用支援の仕事の醍醐味は、成果がはっきりと「人の選択」に結びつく点にある。採用動画を見て「この会社で働きたい」と思った人が応募し、面接を受け、内定を受け、入社する。その一連の入口に、自分たちが作ったコンテンツがある。
広告の仕事はモノを売る。映像の仕事は体験を届ける。採用支援の仕事は人の人生の転機に関わる。この3つを同時にやっているのが、採用動画・採用サイト・求人広告を一体で手がける仕事の特徴だ。
「応募が来た」という報告を受けたとき、あるいは「いい人が入ってくれました」という言葉をもらったとき、このコンテンツが何かを動かしたのだと実感できる。それが、この仕事を続ける人の多くが語る「静かだが確実なやりがい」だ。
まとめ
採用支援の仕事の面白さを3点に整理する。
- 「二重の視点」を持てるようになる。クライアントの要望と求職者の心理、両方を同時に考える訓練が積める仕事は多くない。この能力はあらゆるクリエイティブの仕事に応用できる。
- 小さな改善が数字に出る。求人広告の原稿一つを変えるだけで、応募率が変わる。自分の判断が結果に直結するシビアさと面白さが共存している。
- 成果が「人の選択」につながる。モノではなく、人の行動を動かす仕事だからこそ、手ごたえの質が他のクリエイティブ仕事と違う。
採用支援の仕事に興味を持ったら、まず「採用動画・採用サイト・求人広告のどれが自分に向いているか」を考えてみるといい。それぞれに異なる面白さがあり、一体で手がけることで見えてくる視野もある。詳しく知りたい方、自社の採用コンテンツについて相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。