- 採用と集客の分断がコストを増やす
- 3問で「発信の軸」を言語化する
- WebサイトとWeb求人票の比較から始める
採用担当と営業担当がそれぞれ別のメッセージで会社を紹介している、という状況は珍しくない。しかしその分断が、採用コストと集客コストを両方押し上げている。採用と集客の「発信軸」を一本化するだけで、制作コストが減り、会社のブランドが強くなる。今日の朝礼で使える整理の手順と、すぐ試せる一手をこの記事で示す。
なぜ採用と集客は「別物」として扱われがちなのか
採用と集客が分断される最大の原因は、担当部門が違うことだ。人事が採用メッセージを考え、営業や広報が集客メッセージを考える。それぞれが善意で動いているのに、発信の言葉がバラバラになる。
結果として起きるのは「会社の顔が複数ある」状態だ。求人サイトに書かれた会社の強みと、自社サービスのWebサイトに書かれた強みが食い違う。候補者も見込み客も「この会社、どんな会社なんだろう」と判断を保留する。迷ったら問い合わせない、迷ったら応募しない。これが現実だ。
採用と集客の軸を統一すると何が変わるか
発信の軸が一本になると、まず社内のコミュニケーションが楽になる。「うちの会社がお客さまに提供している価値」と「うちの会社で働く意味」が同じ言葉で語れるようになるからだ。
たとえば、製造業の下請け加工会社が「精度へのこだわりが強み」と整理したとする。この言葉は、取引先への提案でも、採用説明会でも、会社紹介動画のナレーションでも、そのまま使える。メッセージが一致しているから、候補者も取引先も「この会社は筋が通っている」と感じやすい。
さらに、採用動画と会社紹介動画を別々に制作する必要がなくなる。軸が共通なら、1本の映像から採用用・集客用の両方のカットを構成できる。制作コストが削減できる上、発信量を増やせる。
「発信の軸」はどこから引き出すのか
発信の軸とは、一言で言えば「なぜこの会社でなければならないか」という答えだ。これは経営者の頭の中にあることが多いが、言語化されていないことがほとんどだ。
引き出すための問いは3つだけでいい。
- お客さまが競合ではなく自社を選んだ理由を、社員は言えるか?
- 入社3年以内の社員が「ここで働いてよかった」と言う場面はどんな瞬間か?
- 10年後もこの会社がやり続けることは何か?
この3問の答えに共通して出てくるキーワードが、採用でも集客でも使える「軸」になる。経営者が一人で答えを出す必要はない。朝礼や短いミーティングで社員に聞くだけでいい。
今日すぐ試せる「軸の統一チェック」
まず自社の現状を確認する。以下のチェックリストを、手元のスマートフォンだけで今すぐできる。
- □ 自社の求人サイト(または求人票)を開き、「会社の強み」の部分をスクリーンショットする
- □ 自社のWebサイトを開き、「私たちについて」または「会社概要」「選ばれる理由」などのページをスクリーンショットする
- □ 2枚を並べて、同じキーワードや表現があるか確認する
- □ まったく重ならない場合、どちらが「本当の自社らしさ」に近いかを判断する
- □ 近い方の言葉を「軸候補」としてメモする
所要時間は5分以内だ。「重なりがない」と気づいた時点で、すでに問題の半分は解決している。問題が見えていなかった状態から、問題が見えた状態になったからだ。
軸が決まったら何をどの順番で整えるか
軸が言語化できたら、発信媒体を優先順位をつけて整えていく。全部を一度に直す必要はない。
- まずWebサイト(採用ページ)の冒頭コピーを修正する。採用ページのトップに表示されるキャッチコピーは、候補者が最初に目にする言葉だ。ここが軸とズレていると、それ以降を読んでもらいにくい。
- 次に求人広告の「仕事の魅力」欄を書き直す。求人媒体に出稿している場合、この欄は比較的低コストで修正できる。軸のキーワードを冒頭に入れるだけでも印象が変わる。
- 最後に会社紹介動画・採用動画の制作方針を見直す。映像は制作コストがかかる分、変更の優先度は後になるが、影響力は最も大きい。Webと求人票で軸を統一した後、映像の言葉もそろえると発信の一貫性が完成する。
採用サイトとサービスサイトを別ドメインで運営している会社は、両方のトップページのコピーを見比べて、表現を近づけることから始めてほしい。
まとめ
- 採用と集客のメッセージが分断していると、ブランドが分裂しコストが二重になる。
- 「なぜこの会社でなければならないか」を3問で整理することが、軸を見つける最速の方法だ。
- まずWebと求人票の言葉を比べるだけで、今日から整理が始められる。
採用メッセージと集客メッセージの整合性は、どちらか一方だけを専門家に相談しても解決しにくい。両方を同時に見られる視点が必要だ。映像・採用サイト・求人広告運用の一体設計について、具体的な課題をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。