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2026年8月24日時点|企業が押さえておきたい法改正・制度変更まとめ
- 2026年は、障害者雇用率の引き上げや個人情報保護法の改正、インボイス制度の経過措置見直しなど、企業実務に影響する制度変更が続いている
- 法改正への対応は「情報収集→影響範囲の確認→社内ルール・業務フローの見直し→周知・運用確認」の流れで進めると整理しやすい
- すべての企業に同じ制度が適用されるわけではないため、企業規模・業種・取引先・海外展開の有無などを踏まえて自社への影響を確認することが重要
はじめに――2026年8月24日時点で確認しておきたい制度変更
2026年8月24日(月)は、それ自体が複数の法律・制度の施行日というわけではありません。
一方、2026年には企業活動に関係する重要な制度変更が前後しており、8月24日時点は「すでに施行された制度」と「これから対応が必要になる制度」の双方を確認するタイミングとして適しています。
たとえば、民間企業の障害者法定雇用率は2026年7月1日から2.7%に引き上げられました。また、2026年7月には改正個人情報保護法が成立・公布され、今後の施行に向けて政令・規則・ガイドライン等の整備が進められます。
さらに、2026年10月からはインボイス制度における免税事業者等からの課税仕入れについて、仕入税額控除の経過措置が80%控除から70%控除へ変更されます。
本記事では、2026年8月24日時点で企業が確認しておきたい主要な制度変更を、実務上のポイントとともに整理します。
【分野①】労働・人事|すでに施行された制度を再点検
裁量労働制は2024年4月から新ルールが施行済み
裁量労働制については、2024年4月1日から省令・告示の改正が施行されています。
専門業務型裁量労働制では、労働者本人の同意を得ることや、同意をしなかった場合に不利益な取り扱いをしないことなどを労使協定に定める必要があります。
企画業務型裁量労働制についても、本人同意や同意撤回に関する手続き、労使委員会の運営などについて新たな対応が求められています。
2026年に新たな一律の「夏季強化」が行われたわけではありませんが、制度を利用している企業は、現在の運用が2024年4月以降のルールに適合しているか改めて確認しておくことが重要です。
育児・介護休業法は2025年4月・10月に改正内容が施行済み
2024年に改正された育児・介護休業法は、主に2025年4月1日と10月1日に段階的に施行されました。
2025年4月からは「子の看護休暇」が「子の看護等休暇」へ変更され、対象となる子の範囲が小学3年生修了までに拡大されています。
介護分野でも、介護離職防止のための個別周知・意向確認や、介護休業等を取得しやすくするための雇用環境整備などが事業主の義務となっています。
2026年8月時点では、新たな施行というよりも、2025年の改正内容が実際の社内規程や運用に反映されているかを確認する段階と考えるのが適切です。
チェックリスト:労働・人事
- 裁量労働制を導入している場合、2024年4月施行の新ルールに対応している
- 本人同意・同意撤回等の手続きや記録方法を確認した
- 育児・介護休業規程を2025年4月・10月施行の改正内容に合わせている
- 子の看護等休暇の対象範囲や取得事由を社内制度へ反映した
- 介護離職防止のための個別周知・意向確認や雇用環境整備を実施している
- 36協定と実際の時間外・休日労働の状況を定期的に照合している
【分野②】個人情報・サイバーセキュリティ|2026年は重要な転換期
2026年7月に改正個人情報保護法が成立・公布
個人情報保護法の「3年ごと見直し」を踏まえた改正法は、2026年7月10日に国会で成立し、7月17日に公布されました。
改正法は一部を除き、公布日から2年以内で政令により定める日から施行されます。
そのため、2026年8月24日時点で改正内容のすべてが企業に適用されているわけではありません。
今後、政令・個人情報保護委員会規則・ガイドラインなどが整備される予定であり、個人情報を多く扱う企業は今後の公表内容を継続的に確認する必要があります。
特に、顧客データ、採用応募者情報、従業員情報、Webサービスの利用者情報などを扱う企業は、自社のデータ管理体制を整理しておくことが重要です。
個人データ漏えい時の「72時間ルール」ではない点に注意
日本の個人情報保護法では、報告対象となる漏えい等が発生した場合、個人情報保護委員会への速報は「速やかに」行う必要があり、目安は発覚から概ね3~5日以内です。
その後の確報は原則30日以内、不正目的による漏えい等のおそれがある一定の場合は60日以内とされています。
海外制度で採用されている「72時間以内」と混同しないよう注意が必要です。
EUサイバーレジリエンス法(CRA)は2026年から一部適用開始
EUのCyber Resilience Act(サイバーレジリエンス法)は、デジタル要素を含む製品のサイバーセキュリティについて定めるEU規則です。
規則全体の本格適用は2027年12月11日ですが、一部規定はそれより早く適用されます。
特に、脆弱性等に関する報告義務を定める第14条は2026年9月11日から適用されます。また、適合性評価機関等に関する規定は2026年6月11日から適用が始まっています。
EU市場でデジタル要素を含む製品を販売するメーカーや輸入者・販売事業者などは、自社製品がCRAの適用対象となるかを確認しておく必要があります。
チェックリスト:個人情報・セキュリティ
- 自社が保有する個人データの種類と利用目的を把握している
- プライバシーポリシーと実際のデータ取扱いに食い違いがないか確認した
- 個人データの委託先・第三者提供先を把握している
- 漏えい等発生時の社内連絡・調査・報告体制を文書化している
- 2026年改正個人情報保護法の政令・規則・ガイドラインの動向を確認している
- EUでデジタル要素を含む製品を販売している場合、CRAの適用対象を確認している
- 重要システムへの多要素認証など、基本的なセキュリティ対策を確認している
【分野③】環境・サステナビリティ|開示制度の本格化に備える
サステナビリティ情報開示は2027年3月期から段階的に義務化
企業のサステナビリティ情報開示については、2026年2月に金融庁が制度整備を行い、SSBJ(サステナビリティ基準委員会)の基準に基づく開示が段階的に義務化されることになりました。
まず、一定の要件を満たす平均時価総額3兆円以上の東証プライム市場上場会社については、2027年3月期から適用対象となります。
その後、対象企業は段階的に拡大されます。
したがって、2026年8月時点は「2026年3月期から一律に義務化された」という状況ではなく、対象となる大企業を中心に2027年3月期以降の開示に向けた準備を進める時期と位置付けるのが適切です。
また、直接の法定開示対象ではない中小企業でも、大手企業のサプライチェーンに入っている場合には、温室効果ガス排出量等の情報提供を求められる可能性があります。
プラスチック資源循環促進法は対象事業者を確認
プラスチック資源循環促進法は2022年4月から施行されています。
特定プラスチック使用製品を提供する対象業種の事業者には、提供方法や製品の工夫などによる使用の合理化が求められています。
特に、前年度における特定プラスチック使用製品の提供量が5トン以上の「特定プラスチック使用製品多量提供事業者」は、取組が著しく不十分な場合、勧告・公表・命令等の対象となる可能性があります。
2026年8月に新たな一律の義務強化が行われたわけではないため、「2026年夏から行政指導が強化される」と断定するのではなく、現在の制度への適合状況を確認することが重要です。
チェックリスト:環境・サステナビリティ
- 自社がSSBJ基準の強制適用対象となるか確認した
- 対象企業の場合、適用開始年度を確認している
- 主要取引先から温室効果ガス排出量等の情報提供を求められていないか確認した
- 必要に応じて自社のスコープ1・2の排出量把握を進めている
- 特定プラスチック使用製品を提供する対象事業者に該当するか確認した
- 多量提供事業者に該当する場合、使用量と削減の取組状況を把握している
【分野④】税務・会計|2026年10月のインボイス変更に注意
インボイス制度の80%控除は2026年9月末まで
適格請求書発行事業者ではない免税事業者等から行った課税仕入れについては、一定割合を仕入税額控除できる経過措置があります。
2026年9月30日までは、仕入税額相当額の**80%**を控除できます。
重要なのは、2026年9月末で経過措置そのものがすべて終了するわけではないことです。
2026年度税制改正により、2026年10月1日以降の控除可能割合は**70%**へ変更され、その後も段階的に引き下げられます。
そのため、企業は免税事業者等との取引を洗い出し、2026年10月以降の経理処理やシステム設定を確認しておく必要があります。
電子取引データの保存状況も再確認
電子帳簿保存法では、電子メールやWebサービスなどを通じて電子的に受領・交付した請求書、領収書等の電子取引データについて、原則として電子データのまま保存する必要があります。
2024年1月以降の制度に対応できているか、2026年時点でも改めて確認しておくことが重要です。
検索要件が適用される場合には、取引年月日、取引金額、取引先などを検索条件として設定できるようにするなどの対応が必要です。
ただし、企業の規模や保存方法等によって検索要件に関する措置や猶予措置が異なるため、自社に適用される条件を個別に確認してください。
チェックリスト:税務・会計
- 取引先の適格請求書発行事業者登録状況を把握している
- 免税事業者等からの課税仕入れを把握している
- 2026年10月から控除割合が80%から70%へ変わることを経理担当者が理解している
- 会計・経費精算システムが2026年10月以降の処理に対応できるか確認した
- 電子取引データを適切な方法で保存している
- 自社に適用される電子帳簿保存法の検索要件・保存要件を確認している
【分野⑤】採用・多様性|障害者法定雇用率が2.7%へ
2026年7月1日から民間企業の法定雇用率は2.7%
民間企業における障害者の法定雇用率は、2024年4月に2.5%へ引き上げられた後、**2026年7月1日から2.7%**へさらに引き上げられました。
これに伴い、障害者を1人以上雇用する義務が生じる民間企業の範囲も、原則として常用雇用労働者37.5人以上の企業へ広がっています。
2026年8月24日時点では、すでに2.7%の法定雇用率が適用されています。
なお、毎年6月1日時点で行われる障害者雇用状況報告と、2026年7月1日に施行された2.7%への引き上げは日付が異なります。
そのため、「2026年6月1日時点の雇用率を2.7%で判定する」といった説明は正確ではありません。
自社に必要な雇用人数については、2026年7月1日以降の法定雇用率を用いて改めて確認しておくことが重要です。
「しょくばらぼ」は採用広報にも活用できる
厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」では、企業の働き方、採用状況、各種認定などの職場情報を求職者が横断的に確認できます。
すべての企業に対して「しょくばらぼへの登録そのもの」が一律に義務付けられているわけではありませんが、企業の職場情報を求職者に伝える手段の一つとして活用できます。
採用ページについても、法令上必要な情報表示と、応募者に向けた自主的な情報開示を区別しながら整備することが重要です。
チェックリスト:採用・多様性
- 2026年7月1日以降の2.7%基準で必要な障害者雇用人数を確認した
- 自社が障害者雇用義務の対象となる企業規模か確認した
- 合理的配慮について相談・対応できる社内体制を確認した
- 採用ページに掲載している労働条件・職場情報が最新か確認した
- 必要に応じて「しょくばらぼ」等を活用した情報発信を検討している
法改正対応を仕組み化する4ステップ
法改正対応は、情報を知るだけでは完了しません。
重要なのは、把握した情報を自社の制度や実務へ落とし込むことです。
ステップ1:情報を収集する
厚生労働省、国税庁、金融庁、個人情報保護委員会、経済産業省、環境省など、自社に関係する行政機関の公式情報を定期的に確認します。
ニュース記事やSNSだけで判断せず、施行日や適用対象についてはできる限り公式資料まで確認することが重要です。
ステップ2:自社への影響を確認する
制度ごとに、
- 従業員数
- 資本金・売上規模
- 上場・非上場
- 業種
- 国内・海外の取引状況
- 扱っている個人情報
- 取引先の属性
などを基準として、自社が対象になるか確認します。
ステップ3:社内ルールと業務フローを変更する
影響がある制度については、必要に応じて、
- 就業規則
- 社内規程
- 契約書
- プライバシーポリシー
- 会計処理
- システム設定
- 業務マニュアル
などの変更箇所を洗い出します。
専門的な判断が必要な場合には、弁護士、社会保険労務士、税理士等へ確認してください。
ステップ4:周知し、実際に運用できているか確認する
規程やマニュアルを変更しただけでは、法改正対応は完了しません。
管理職研修、社内説明、担当部署への通知などを行い、実際の業務が新しいルールに沿って運用されているか定期的に確認します。
よくある対応漏れと防止策
「自社には関係ない」と判断してしまう
制度によって適用条件は異なります。
従業員数で決まる制度もあれば、取引内容や扱うデータ、上場区分、海外展開などによって対象になる制度もあります。
まず適用条件を確認してから判断することが重要です。
「以前対応したから大丈夫」と考える
一度制度対応を行っていても、その後に法令・省令・ガイドライン等が変更される可能性があります。
最低でも定期的に、自社の規程や業務フローと現在の制度にずれがないか確認することをおすすめします。
専門家へ任せきりにする
専門家への相談は重要ですが、実際の業務フローや取引内容を最も把握しているのは企業自身です。
社内で影響範囲を整理した上で専門家に相談することで、より正確かつ効率的な制度対応につながります。
まとめ|2026年8月24日を制度点検のタイミングに
2026年8月24日(月)は、複数の法律が一斉に施行される日ではありません。
しかし、2026年7月には障害者法定雇用率が2.7%へ引き上げられ、改正個人情報保護法も成立・公布されました。
さらに、9月にはEUサイバーレジリエンス法の一部規定が適用され、10月にはインボイス制度の仕入税額控除に関する経過措置が80%から70%へ変更されます。
その意味では、2026年8月はこれまでの制度対応を点検し、今後の変更に備えるタイミングといえます。
法改正への対応で大切なのは、すべての情報に反応することではありません。
「その制度が自社に適用されるのか」「いつから対応が必要なのか」「社内のどこを変更する必要があるのか」を一つずつ整理することです。
まずは人事・総務・経理・情報システムなどの各担当部署で、自社に関係する項目を確認するところから始めてみてください。
※本記事は2026年8月24日時点の公表情報をもとに一般的な情報を整理したものであり、個別の法務・税務・労務判断を提供するものではありません。具体的な対応については、行政機関または弁護士・社会保険労務士・税理士等の専門家へご確認ください。
主な参考資料
- 厚生労働省「裁量労働制の省令・告示の改正」
- 厚生労働省「育児・介護休業法について」
- 厚生労働省「障害者雇用率制度」
- 個人情報保護委員会「令和8年 改正個人情報保護法について」
- 個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」
- 国税庁「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」
- 国税庁「電子帳簿保存法一問一答」
- 金融庁「サステナビリティ開示基準の適用開始に向けた制度整備」
- 環境省「プラスチック資源循環促進法」
- EUR-Lex「Regulation (EU) 2024/2847(Cyber Resilience Act)」