- 2026年6月29日施行の改正景品表示法では、確約手続きの導入・課徴金対象の拡大・直罰規定の整備など規制の実効性が大幅に強化され、中小企業のWebサイトや広告表示にも直接影響する
- 優良誤認・有利誤認・打消し表示の不備はデジタル広告でも厳しく問われるため、施行前に自社サイト・広告素材の全棚卸しと修正、根拠資料の整備を優先的に進める必要がある
- 法令対応を担当者個人任せにせず、表示物の承認フローの明文化・根拠資料の保管ルール策定・定期監査の仕組み化という組織的な体制を構築することが、持続的なコンプライアンスとWebサイトの信頼性向上につながる
2026年6月29日施行|改正景品表示法とは何か
2026年6月29日(月)、改正景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)が施行されます。消費者庁が推進するこの改正は、デジタル広告や電子商取引の急速な普及を背景に、不当表示に対する規制の実効性を大幅に高めることを目的としています。
「うちは大企業じゃないから関係ない」と思っていませんか。改正の内容は中小企業・個人事業主が運営するECサイトや自社Webサイトの広告表示にも直接影響します。施行まで時間的猶予はほとんどありません。今すぐ自社の表示内容を見直す必要があります。
今回の改正で何が変わるのか|主要5つのポイント
1. 確約手続きの導入
改正の目玉のひとつが「確約手続き」の新設です。消費者庁から問題のある表示について通知を受けた事業者が、自主的に是正計画(確約計画)を申請・認定されれば、措置命令や課徴金納付命令を受けずに手続きを終了できる仕組みです。
これは事業者にとって迅速な問題解決の道を開くものですが、裏を返せば消費者庁が積極的に問題表示を把握・通知するインフラが整備されるということでもあります。「見つからなければ大丈夫」という発想は通用しなくなります。
2. 課徴金制度の対象拡大と算定方法の見直し
現行法でも課徴金制度は存在しますが、改正により対象範囲が拡大されます。これまで対象外だった一部の不当表示類型にも課徴金が適用される可能性があり、算定の基礎となる売上額の捉え方も見直されます。
中小企業であっても、不当表示によって得た利益相当額が課徴金として求められるリスクがあります。「規模が小さいから金額も小さい」とは限らず、事業継続に影響するケースも想定されます。
3. 直罰規定の整備
改正法では、一定の違反行為に対して行政処分を経ずに刑事罰を科せる直罰規定が整備されます。これは法律の抑止力を大幅に引き上げるものであり、意図的な不当表示に対するリスクが飛躍的に高まります。
4. デジタル広告・SNS表示への適用強化
改正は特にデジタル領域での不当表示を念頭に置いています。自社Webサイトの商品説明文、バナー広告のキャッチコピー、SNSでの投稿、インフルエンサーを活用したプロモーションなど、オンライン上のあらゆる表示が規制の対象となることを改めて認識しておく必要があります。
5. 事業者の自主的取組推進に向けた指針の明確化
改正法は規制の強化だけでなく、事業者が自主的にコンプライアンス体制を構築・運用することを積極的に評価する方向性も示しています。社内規程の整備、表示チェックのフロー確立、担当者教育などに取り組むことが、万一の際のリスク軽減にも繋がります。
中小企業・Web担当者が特に注意すべき表示類型
改正の趣旨を踏まえ、特に問題になりやすい表示の類型を確認しておきましょう。
優良誤認表示
商品・サービスの品質、規格、その他の内容について、実際のものや競合他社のものより著しく優良であると一般消費者に誤認させる表示です。「業界No.1」「最高品質」「完全無添加」といった表現は、客観的な根拠がなければ該当するリスクがあります。
有利誤認表示
商品・サービスの価格や取引条件について、実際のものや競合他社のものより著しく有利であると一般消費者に誤認させる表示です。「通常価格」「定価」の設定が恣意的だったり、「期間限定」と表示しながら常時同じ価格だったりするケースが典型例です。
打消し表示の不備
「*条件あり」「*一部対象外」といった打消し表示が、本体のキャッチコピーに比べて著しく小さく、または見づらい場所に配置されている場合、全体として不当表示と判断されることがあります。Webページのデザイン上、特に注意が必要です。
自社サイト・広告の事前チェックリスト
施行前に以下の項目を確認し、問題があれば速やかに修正してください。
- トップページ・商品ページのキャッチコピーに、根拠のない最上級表現(「No.1」「最安値」「唯一」等)が使われていないか
- 価格表示において「通常価格」「定価」「参考価格」の根拠が明確か、二重価格表示のルールを満たしているか
- 「期間限定」「数量限定」の表示が実態と合致しているか
- 打消し表示・注釈が視認しやすいフォントサイズ・配色・位置に設定されているか
- お客様の声・レビューが実際のものであり、恣意的な抜粋・改変をしていないか
- 比較広告を使用している場合、比較の根拠となるデータが客観的かつ最新のものか
- SNS・インフルエンサー投稿で広告であることの明示(ステルスマーケティング規制)が適切か
- メールマガジン・バナー広告など外部配信の広告表示と実際のランディングページの内容が整合しているか
社内体制の整備|担当者だけに任せない仕組みづくり
法令対応は担当者個人の知識に依存するのではなく、組織として機能する仕組みを構築することが重要です。
表示物の承認フローを明文化する
Webページの新規作成・更新、広告クリエイティブの制作・配信前に、景品表示法の観点からチェックする担当者と承認フローを明確にしましょう。チェックシートを用意し、記録を残すことが重要です。
根拠資料の保管ルールを定める
「No.1」「最安値」といった表現を使う場合は、その根拠となる調査データや資料を保管しておく必要があります。いつ、どの調査に基づく表示なのかを文書で管理するルールを定めてください。
定期的な表示監査を実施する
一度修正しても、サイトリニューアルやキャンペーン追加のたびに問題表示が生まれるリスクがあります。半年に一度など定期的に全ページ・全広告素材を棚卸しするスケジュールを組み込みましょう。
WebサイトのDXと法令対応を同時に進めるという視点
今回の改正景品表示法への対応は、単なるコンプライアンスコストではありません。自社のWebサイトや広告表示を見直すことは、ユーザーへの情報伝達の質を高め、信頼性の向上に直結します。
特に中小企業においては、Webサイトが営業・マーケティングの中核を担っているケースが多く、表示内容の精度を高めることがそのまま顧客満足度と成約率の改善につながります。法改正を機に、サイト全体のコンテンツ品質を底上げする機会として前向きに捉えることをお勧めします。
まとめ|2026年6月29日の施行に向けて今すぐ動く
改正景品表示法の施行まで、残り時間はわずかです。「施行後に対応すればいい」では遅く、施行日以降の表示はすべて改正法の適用を受けます。
対応の優先順位は次の通りです。
- 自社のWebサイト・広告素材の現状把握(棚卸し)
- 問題表示の洗い出しと修正
- 根拠資料の整備と保管ルールの策定
- 社内承認フローの明文化
- 定期監査の仕組み化
法令対応に不安がある場合や、Webサイトのコンテンツリニューアルをこのタイミングでまとめて進めたいとお考えの場合は、専門家への相談が近道です。
株式会社SOAでは、Web制作・コンテンツ制作の知見をもとに、法令対応を踏まえたWebサイトの表示改善や情報整理のご支援が可能です。お気軽にお問い合わせ・ご相談ください。