- 尺は目的から逆算して決める
- 配信先は視聴者の状態で選ぶ
- 成果指標は主1つ・補助2つに絞る
「せっかく動画を作ったのに、再生数が伸びない」「どこで流せばいいか分からない」——そう感じているなら、制作の前段階で尺・配信先・成果指標(何を達成できたら成功か)の3つを決め切れていない可能性が高い。今日の結論は一つ:この3つは制作スタート前に一枚のメモに書き出す。それだけで制作の無駄とPDCAのズレが大幅に減る。
「尺」は目的から逆算する。感覚で決めない
動画の長さは「何となく2分くらい」で決めるのが最も危険な選択だ。尺は「誰に・何をしてほしいか」を起点に決める。
- 15〜30秒:認知獲得。SNS広告やYouTube広告のスキップ前に届けたいメッセージ向け。ブランドロゴと一つの訴求に絞る。
- 60〜90秒:検討・比較フェーズ。採用動画や会社紹介動画のSNS掲載版に多い。冒頭10秒で離脱を防ぎ、中盤で根拠、末尾でCTAを置く三段構成が基本。
- 3〜5分:深い理解が必要な場面。採用サイトのメインムービー、展示会の解説動画など、すでに興味を持った人が自発的に見る文脈でのみ許容される。
- 10分以上:セミナー録画・教育コンテンツ専用と割り切る。集客動画にはほぼ使わない。
判断の分かれ目は「視聴者が自分から探して見るか、流れてきて見るか」だ。後者なら30秒以内を原則にする。
配信先は「視聴者の状態」で選ぶ
プラットフォームごとに視聴者の心理状態が異なる。場所を間違えると、どれだけ映像が良くても届かない。
主要プラットフォームの特性
- YouTube:能動的に探す人が集まる。検索連動型の会社紹介動画・採用動画・商品解説と相性が良い。サムネイルとタイトルが命。
- Instagram・TikTok:受動的に流れてくるフィード。最初の1〜3秒で引き込まなければ即スクロールされる。縦型・短尺・テキストオーバーレイが基本。
- X(旧Twitter):拡散力が高い一方、視聴完了率は低め。話題性のある切り口か、短く完結するメッセージが向く。
- 自社サイト・採用サイト:すでに興味を持った人が来る場所。3〜5分の詳細動画を置ける唯一の場所といっても過言ではない。
- テレビCM・交通広告:地域密着・ブランド認知に有効。15秒・30秒の尺が標準で、映像と音声の両方で伝わる設計が必要。
一本の動画を全プラットフォームで使い回すのは非効率だ。マスター素材(長尺)を一つ撮影し、カットを変えた複数バージョンに展開するのが費用対効果の高い進め方になる。
成果指標(何を測るか)を3つに絞る
動画の成果を「再生数」だけで測るのは、店の売上を「来店者数」だけで評価するようなものだ。目的別に指標を設定する。
目的別・成果指標の選び方
- 認知拡大が目的なら:リーチ数(何人に届いたか)、インプレッション、ブランドワードの検索数変化
- 検討促進が目的なら:視聴完了率(最後まで見た割合)、サイトへの流入数、問い合わせフォームへの到達率
- 採用動画なら:応募数・エントリー率の変化、採用サイトの滞在時間、説明会申込率
- 商品・サービスのCMなら:配信期間中の資料請求数・来店数・売上の前後比較
指標は「多く設定するほど良い」ではない。主指標1つ、補助指標2つの計3つに絞ると、チーム内の議論がぶれない。
今日使える:動画企画チェックリスト
企画段階で以下を埋め切れていない項目があれば、制作を止めてそこを先に決める。確認できたらチェックする。
- □ 目的:この動画で視聴者にしてほしいことが1文で言える(「採用サイトに遷移して応募ボタンを押す」など)
- □ ターゲット:誰がいつどこでこの動画を見るかが具体的にイメージできる
- □ 配信先:公開するプラットフォームが決まっており、そこに合った尺と縦横比を把握している
- □ 尺:上記の「目的×配信先」から逆算した長さになっている(感覚で決めていない)
- □ 主指標:成功を測る数字が1つ決まっており、計測できる環境が整っている
- □ 補助指標:主指標の動きを補完する指標が2つ以内に絞られている
- □ 流用計画:マスター素材から複数尺・複数プラットフォーム向けのバリエーションを作る計画がある
このリストに全項目チェックが入らない状態で制作に進むと、完成後に「どこに出すべきか分からない」「効果を測れない」という事態になりやすい。
まとめ:3つの決定を先にやる
- 尺は目的から逆算する。「流れてきて見る動画」は30秒以内、「自分から探す動画」は60秒〜5分が目安。
- 配信先は視聴者の状態で選ぶ。一本の動画を使い回さず、マスター素材から複数バージョンに展開する。
- 成果指標は主1つ・補助2つに絞る。多すぎる指標は判断を遅らせるだけで、成果に貢献しない。
動画制作の費用対効果が低い企業の多くは、制作クオリティではなく「設計の段階」で判断を誤っている。今日の朝礼や社内ミーティングで、上記チェックリストを一枚印刷して確認するところから始めてみてほしい。
「自社の動画、何から整理すればいいか分からない」という段階からでも、映像制作・CM制作の専門家に相談することで方針が具体化しやすくなる。課題の整理だけでも歓迎しているので、気軽に問い合わせてほしい。