- 採用ターゲットを1人に絞る
- 社員の言葉が最強のコンテンツ
- 出会いのジャーニーを設計する
「うちみたいな小さい会社に、優秀な人が来るわけない」
先日、神戸市内で成長中のITスタートアップの代表・田中さん(仮名・42歳)からこんな相談を受けました。
「求人票を出しても応募が来ない。来ても採用基準に届かない。大手と給与で戦えないし、知名度もない。もう採用を諦めて外注で回すしかないのかと思ってます」
従業員22名、創業7年、売上は順調に伸びているのに、採用だけがボトルネックになっている。これは今、日本中の中小・スタートアップ経営者が抱える構造的な悩みです。
なぜ今、採用ブランディングが「生存戦略」になったのか
2026年現在、日本の有効求人倍率は1.25倍前後を推移しており(厚生労働省・2025年末時点)、特にIT・クリエイティブ・専門職領域では3倍を超えるエリアも存在します。
一方で、リクルートワークス研究所の調査によれば、中途採用市場における求職者の約67%が「給与より働く意味・文化を重視する」と回答しています。つまり、給与で大手に勝てなくても、「ここで働く理由」を明確に打ち出せれば十分に戦えるのです。
世界的に見ても、米国シリコンバレーのスタートアップが大企業を退職した優秀人材を引き付けてきた背景には、ミッションの明確さ・成長の見える化・カルチャーの言語化という採用ブランディングの徹底があります。
「採用ブランディングとは、会社を魅力的に飾ることではない。会社の本質を、求める人材に届く言葉で正確に伝えることだ。」
ケーススタディ:従業員20名のスタートアップが採用倍率8倍を実現した方法
Before:誰にも刺さらない求人票の悲劇
大阪のSaaS系スタートアップ・A社(従業員20名・創業5年)は、2024年春まで「エンジニア募集・月給35万円〜・フルリモート可」という求人票を掲載していました。応募数は月平均3〜4名。そのうち面接に進んだのは1名、採用ゼロの月も珍しくありませんでした。
問題は給与でも条件でもありませんでした。「なぜこの会社でなければならないのか」が一切伝わっていなかったのです。
After:採用ブランディング実施後の変化
A社が取り組んだのは、以下の3ステップでした。
- インナーブランディング:現社員10名にインタビューを実施し「この会社で働く理由」を言語化
- 採用動画の制作:代表・社員・職場環境を3分間で紹介するドキュメンタリー動画を制作・公開
- 採用専用LP(ランディングページ)の構築:Wantedlyと自社サイトに採用特設ページを設置
結果、施策実施から3ヶ月後の応募数は月平均27名に急増(約8倍)。さらに驚くべきは、応募者の質の変化でした。「御社のビジョンに共感した」「代表のインタビュー動画を見て応募した」というコメントが増え、入社後の早期離職率も大幅に改善されています。
採用ブランディングで「大手に勝つ」3つの戦略
戦略①:「誰でも来てほしい」をやめ、「この人だけに来てほしい」に絞る
中小・スタートアップの採用で最もよくある失敗が、採用ターゲットを絞らないことです。「優秀なエンジニアなら誰でも」という求人は、結果として誰にも刺さりません。
採用ブランディングの第一歩は、「自社に最も合う人物像(ペルソナ)」を1人に絞り込むことです。年齢・職歴・価値観・どんな環境で育ち、何に不満を感じて転職を考えているのか——そこまで具体化することで、求人票・採用ページ・動画の言葉がリアルに刺さるようになります。
たとえば「大手で評価されず、小さなチームで裁量を持って働きたい30代エンジニア」に絞れば、そのまま響くコピーが書けます。
戦略②:「社員の言葉」を採用コンテンツの主役にする
求職者が採用情報を見るとき、最も信頼するのは現役社員のリアルな言葉です。会社公式のコピーより、社員インタビューの一言の方が圧倒的に響きます。
実施すべきコンテンツの優先順位は以下の通りです。
- 1位:社員インタビュー動画(1〜3分):社員が自分の言葉で「なぜここで働くのか」を語る
- 2位:代表メッセージ動画:経営者がビジョンと人材への期待を語る(台本なしが理想)
- 3位:一日の仕事の流れ(テキスト+写真):入社後のリアルなイメージを伝える
- 4位:社内環境・チームの雰囲気が伝わる写真:スマホで撮ったようなナチュラルな写真が効果的
「プロの動画を使わないといけない」と思い込んでいる方が多いですが、スマートフォンで撮影した社員の素直なインタビュー動画が最も反応率が高いというデータもあります(Wantedly社・2024年調査より)。大切なのはクオリティより「本物感」です。
戦略③:採用は「出会いの設計」と考える
採用ブランディングを「求人票を綺麗にすること」と捉えると、施策が浅くなります。本質は、「求職者がどこで自社と出会い、何を感じて応募ボタンを押すか」というジャーニーを設計することです。
SNS(LinkedInやX)での経営者の発信→採用LP→社員インタビュー動画→Wantedly記事→カジュアル面談の申込み——このような接触ポイントを複数設計することで、求職者は「この会社のことを知っている」という感覚を持って応募してきます。
特に経営者自身がSNSで「自社のビジョンや日常」を発信することは、採用コストを下げながら採用ブランディングを強化する最も費用対効果の高い施策です。フォロワー数ではなく、「一貫したメッセージを発信し続けること」が重要です。
明日からできる採用ブランディングの3ステップ
「難しそう」と感じた方のために、今週から動ける具体的なアクションをまとめます。
- 【今日】社員5名に「この会社で働き続ける理由」を口頭で聞き、そのまま記録する
加工しない。本人の言葉をそのまま採用コンテンツの素材にする。 - 【今週中】現在の求人票を見直し、「誰に届けたいか」を1行で書き直す
「優秀な人材募集」ではなく「◯◯に悩んでいる◯◯歳のあなたへ」の形式で。 - 【来月】スマホで社員インタビュー動画を1本撮影し、採用ページに掲載する
質問は「なぜうちを選んだか」「入社して一番驚いたこと」の2つだけでOK。
この3ステップだけでも、求人票の「温度」は大きく変わります。採用ブランディングは予算規模ではなく、「自社の本質をどこまで言語化・映像化できるか」の勝負です。
採用に悩む経営者へ。一人で抱え込まないでください
冒頭でご紹介した田中さんは、その後、採用動画の制作と採用LPの構築に取り組み、半年後には念願のエンジニア2名の採用に成功しました。
彼が最後に言った言葉が印象的でした。「うちの会社って、こんなに魅力的だったんですね。ちゃんと言葉にしてみてはじめて気づきました」と。
採用に苦しんでいる経営者の多くは、「自社の魅力を自分では気づけていない」だけです。外側から見れば、明確な強みや文化が必ずあります。それを正確に言語化・映像化・発信する仕組みを作ることが、採用ブランディングの本質です。
映像・Web・採用ブランディングを一気通貫で支援する企業に相談すると、こうした課題が整理しやすくなります。SOAでも同じ思想で、中小企業・スタートアップの採用ブランディングを支援しています。
採用に悩んでいる経営者の方、一人で抱え込まずに、まずお話を聞かせてください。会社ごとに事情は違います。「何から始めればいいかわからない」という段階からでも、SOAでは無料で採用の悩み相談を承っています。神戸・愛媛を拠点に、全国の経営者の採用課題に向き合っています。