- 動画直後の動線設計が問い合わせを左右する
- 動画とサイトのメッセージを一致させる
- 動画の配置はターゲットページで決める
「動画を作ったのに、問い合わせが全然増えなかった」――この相談は、中小企業の経営者や担当者から最も多く寄せられる悩みのひとつです。原因のほとんどは動画の品質ではありません。サイトと動画が別々に動いていて、訪問者を次の行動へ運ぶ仕組みになっていないことが問題です。この記事では、よくある失敗のパターンと、それを改善した場合に何が変わるかを、具体的な場面を交えて解説します。
失敗パターン①:動画を「飾り」として置いている
動画はあるが、訪問者はそれを見ても次に何をすればいいか分からない、という状態が最も多い失敗です。
たとえば、従業員20名ほどの建設会社がトップページに会社紹介動画を埋め込んだとします。動画の完成度は高く、施工実績も映像で丁寧に伝えられています。ところが再生ボタンの周囲には何もなく、動画が終わると画面はそのまま。訪問者は「いい会社だな」と思っても、次にどこをクリックすればいいか分からず、ページを離れてしまいます。
この状態を「動画を飾りとして置いている」と表現します。問い合わせを生む動線(次の行動へ誘導する道筋)がないまま、動画だけが独立しているのです。
改善のポイント:動画の直後に「次の一手」を置く
- 動画の再生が終わったら、自動で「詳しく見る」「無料で相談する」などのボタンが目に入る位置に来るようにする
- 動画の下に、動画の内容を補足する2〜3行のテキストと具体的な行動喚起(問い合わせや資料請求のボタン)をセットで置く
- 動画の内容と、ボタンのコピー(文言)を揃える。「施工のこだわりを映像で紹介しました」→「施工事例をもっと見る」のように、文脈をつなげる
失敗パターン②:動画とサイトのメッセージがバラバラ
動画で語っている強みと、サイト本文で書いている強みが違うと、訪問者は「どちらが本当なのか」と感じて信頼を損ないます。
例を挙げます。従業員40名ほどの製造業の会社が、採用向けに動画を制作しました。動画では「チームワークを大切にする会社」というメッセージを全面に出しています。ところが採用サイトのテキストには「実力主義・個人の成長」という言葉が並んでいます。どちらも嘘ではないのですが、訪問者(求職者)にとっては「会社が何を大切にしているのかよく分からない」という印象になります。結果、エントリーに踏み切れず離脱します。
動画はインパクトが強い分、サイト全体のトーンやメッセージと揃っていないと、逆効果になりやすいという特性があります。
改善のポイント:動画とテキストで「同じ言葉」を使う
- 動画の中で使ったキーワード(例:「現場を支える技術」)を、サイトの見出しやボディコピーにも意図的に使う
- 動画の構成(何を最初に話して、最後に何で締めるか)を、サイトのページ構成と合わせて設計する
- 動画とサイトを別の制作会社や担当者が作っている場合は、必ずお互いの成果物を共有し、メッセージの整合性を確認してから公開する
失敗パターン③:動画の置き場所がターゲットとずれている
どの動画を、どのページに置くかを決めずに制作すると、動画が正しい相手に届きません。
たとえば、従業員10名の士業事務所(税理士・社労士など)が、新規の法人顧客向けに「サービス内容を説明する動画」を制作したとします。ところが実際に動画を置いたのは、既存顧客向けのお知らせページでした。新規顧客がそのページに来ることはほとんどなく、動画はほぼ誰にも見られません。
動画をどのページに置くかは、「誰が、どのタイミングで見るか」を決めてから設計する必要があります。
ページ別・動画の役割の整理
- トップページ:会社全体の印象を伝える会社紹介動画。初訪問者が「ここは何の会社か」を3分以内に理解できること
- サービス・事業紹介ページ:特定のサービスの流れや成果イメージを伝える動画。訪問者がすでに「こういうサービスを探している」という状態なので、詳細を示す
- 採用サイト・求人ページ:職場の雰囲気・働く人のリアルを伝える採用動画。求職者が「自分が働く場面」を想像できることが目的
- LP(ランディングページ)・問い合わせ直前のページ:信頼感を補強する短い動画(代表メッセージ・お客様の声など)。訪問者の迷いを解消する
判断の分かれ目:自社サイトはどこが問題か
サイトと動画の連動がうまくいっていないとき、原因は次の3つのどれかに当てはまることがほとんどです。自社の状況と照らし合わせてみてください。
- 動線の問題:動画の前後に、訪問者を次のページや問い合わせフォームへ誘導する仕掛けがない。→ 動画の直後にCTA(行動を促すボタン)を設置する
- メッセージの問題:動画で伝えていることと、サイトのテキストで伝えていることが食い違っている。→ 動画とサイトのメッセージを一枚の設計図として作り直す
- 配置の問題:動画がターゲットの訪問者が来ないページに置かれている。→ 「誰が来るページか」を確認し、動画を適切なページに移す
この3つは独立した問題ではなく、重なっている場合も多いです。まず「自社の動画を最後まで見た人が、次に何をしているか」を確認することが出発点になります。ウェブサイトの解析ツール(訪問者の行動ログを記録するツール)で、動画を置いたページから問い合わせページへの移動数を確認してみてください。
改善後に変わること:サイトと動画が「一体」になった状態
動線・メッセージ・配置の3点が揃うと、訪問者の行動が変わります。
たとえば、従業員30名ほどの人材サービス会社が採用サイトを改修した場面を考えます。改修前は、採用動画をトップに置いているだけで、動画の後に求職者が見るべきページへの案内がありませんでした。改修後は、動画の直後に「この動画に登場した社員のインタビュー記事を読む」というリンクを追加し、インタビュー記事の最後にエントリーフォームへのボタンを設置しました。動画→インタビュー→エントリーという流れが一本の道としてつながった結果、エントリー数に変化が出た、というのが典型的な改善事例のパターンです。
重要なのは、動画の質を上げることよりも、動画を見た人が「次に何をするか」を設計することです。訪問者は親切に案内されなければ、自分から動いてはくれません。
まとめ
- 動画の後に動線がないと、訪問者は離脱する。動画の直後に行動を促すボタンと、文脈に合った言葉を置くことが基本。
- 動画とサイトのメッセージが違うと信頼が下がる。動画とテキストを同じ設計図から作ることで、訪問者に一貫した印象を与えられる。
- 動画の置き場所は「誰が来るページか」で決める。会社紹介動画・採用動画・サービス説明動画はそれぞれ適切なページに配置することで、初めて効果を発揮する。
「動画は作ったのに、問い合わせにつながらない」と感じている場合、多くは動線・メッセージ・配置のいずれかに改善の余地があります。サイトと動画を別々に考えず、訪問者の動きを一本の道として設計し直すことが、問い合わせを増やす最も確実な方法です。現状のサイトや動画をどこから手をつければよいか迷っている場合は、まず現状の整理から一緒に考えることができます。お気軽にご相談ください。